ボランティアの声

教育は力~成長し続ける子どもたち
ボーンフリーアートJapan創設メンバー 山口 織枝

ボーンフリー(以下BF)を初めて訪れた2010年夏の3週間の滞在から3年を経た今年夏、再びBFを訪れました。3年前には建設中であったメトロが完成しており、インドが経済発展の道を歩んでいることを実感しました。

 カーストに
よる差別や、経済的格差による貧困といった、インドに存在する社会的・経済的・文化的問題は、子どもを路上生活や物乞い、長時間労働へと追いやり、本来子どもに保障されるべき学びの権利を奪っています。子どもたちと話をすると、壮絶な労働経験や、家庭問題といったライフストーリーがたくさん出てきます。一方で、子どもの親であるおとなも、将来への希望を社会的、経済的、精神的に剥奪されているのではないかと考えます。 こうした中、教育こそが力だと強く感じました。社会でのおとなの価値観や教育は子どもたちに直接的影響をもたらします。教育は、様々な生き方や考え方に目を向けさせ、将来に希望を抱ける機会を生み出すことではないでしょうか。

 3年前のBFと今では子どもたちの顔も面々で、長くいる子どもたちの心身の成長ぶりには驚きを感じました。特に心に残ったのはマラッパ(15)とラクシュミ(14)です。母親が自殺し、父親に学校を辞めさせられ、路上で働かされていた兄弟姉妹。マラッパは、元気に学校へ通い続けまじめに勉強しています。妹のラクシュミは身長が伸び、3年前ほとんど話せなかった英語をかなり話せるようになっていました。もう一人成長したメンバーにキラン(19)がいます。父親はすでに他界し、母親は路上生活を続けていますが、彼は高校へ進学し現在2年生です。ミーティングでは、私にカンナダ語から英語に通訳をしてくれました。高校では英語を学ぶのが好きだそうです。

 BFのリーダー的存在は青年二人。プラシャン(20)とスブラマニ(19)です。プラシャンは車の運転をしたり、小さい女の子と遊んであげたり、今や大黒柱のように頼りになる兄貴的存在です。スブラマニも、3年前と変わらず明るくひょうきんでありながら、しっかり者で外から来る人に対してのホスピタリティの精神を向上させているように感じました。スマン(15)は少年から青年へ移行している印象を受け、おとなびた感じを受けました。サントシュ(14)は人を笑わせるのが好きだということだけあって、よく面白いことをして笑わせてくれました。

 3人の女の子、ランジータ(10)、シルパ(11)、マライカ(17)は今回初対面でした。ランジータとシルパの父親はアルコール依存症で共通の問題を家庭で抱えています。パフォーマンスでの二人の存在感が発揮されていたのが印象的です。マライカはお姉さん的存在で、小さい女の子たちの面倒を見ています。彼女に両親は無く、現在は学校に通っていませんが、勉強したいという向上心を強く感じました。テジャス(11)も初対面でした。「白い花」の舞台パフォーマンスでは、ソロを踊りました。子どもたち皆の共通点は身体能力に非常に長けたくましく、それ故パフォーマンスの能力がとても高いことです。彼らからはコンペテンスと希望、そして人間としての強さを感じます。私は、子どもたちから、自分が学ぶことのほうが多いように思いました。子どもたちの事情は複雑で、容易に解決の出来ることばかりではないけれども、子どもたちが、BFでアートの楽しさを知り、各々の持つ能力を充分に発揮しておとなになっていくことを心から願っています。
児童労働の現場に切り込む
 ボーンフリーアートJapan創設メンバー 金子卓渡

  今年の6月、デバラジ氏による早稲田大学での講演を聞いたことがきっかけで、映像を通して児童労働を伝えることをテーマに選び、この夏バンガロールへ旅経ちました。約2週間ボーンフリーに滞在し、バンガロール市内で児童労働についての取材と撮影を行ないました。

メンバーの力を借りて、昼はマーケットやスラムで撮影、夕方は子どもたちとバレーボールなどをして一緒に遊び、夕食を食べるのが日課でした。皆、辛い過去を感じさせないほど明るく社交的で驚きました。

また、自分の撮影以外にもたくさんのイベントを経験しました。オランダ、ウガンダ、インドネシアなどから訪れた人たちと子どもたちとの交流、カルナタカ州政府総理大臣によるデバラジ作彫刻の見学、「ヒロシマ・ナガサキデー」(86日)で原爆の話を中心とした市内の大学での講演などがありました。また、815日はボーンフリーが9周年目を迎えた日であり、またインドの独立記念日であるこの日にMGロードにあるメトロ(モノレール)高架下でイベントが開かれ、野外ライブにボーンフリーは参加し、私はベースを弾きました。

誰もが映画「スラム$ドッグミリオネア」のような劇的な人生を歩めるわけではなく、多くの子どもたちは生まれながらにして労働に縛られ、貧困から抜け出す希望を持てず働いているのが現実であり、悲しく衝撃的でした。児童労働の現場を撮ることに躊躇しましたが、撮影に協力してくれたボーンフリーの青年組たちが背中を押してくれました。お別れのときには夜中にもかかわらず全員で見送りをしてくれて、本当に名残惜しかったです。

帰国後、撮影した映像を短くまとめたものを106日、東京日比谷公園で行われた「グローバルフェスタ2013」のワークショップブースで発表しました。本編の方は現在編集中です。また、フェイスブックを通じてメンバーとの連絡を取り合っています。

 

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